夏の帰り道 

2019.9.1

久しぶりに、広尾商店街に立ち寄った。

 

何週間ぶりのここにも、

ブームの波が押し寄せ、タピオカ屋が新しくできていた。

入れ替わりの激しいこの地には、行けずに、さよならしたお店がいくつもある。

常に新しさが更新されていく、おしゃれな街、広尾。

 

けれど、切り取られた広尾の景色のなかには、

「懐かしさ」も息をしていると気付く。

 

長年地元の方々に愛されている銭湯。

銭湯横にあるのは、コインランドリー。

昔ながらの手焼きせんべい、山田屋。

味は少し濃いめで美味しく、煎餅好きな私のお気に入りだ。

瓶の器やショーケースに入った、量り売りのおせんべい。

最近では、この景色がめっきり少なくなった。

賑わう商店街から一本路地に入ると、静けさ漂う住宅街が。

うろうろしていると、井戸も発見。

 

さて、商店街の通りに戻ろうかと、細い路地を進んだとき、

横から、猫がひょっこりと顔を出した。

特等席なのか、室外機の上でのんびりと寄り添う猫たち。

こんなところに隠れていたのね、と思わずシャッターをきる。

(しっかり、カメラ目線をいただきました。)

ここには、静けさを包むやわらかい風が流れているようだ。

 

商店街の通りに出ると、

飲食店で晩ご飯を食べる人、買い物を終えて帰りを急ぐ人。

日常の景色でも、

私には不思議な空気が流れているように思える。

 

店先の赤提灯も灯ったので、私もそろそろ帰るとするか。

 

銭湯、コインランドリー、手焼きせんべい、路地裏・・・

私には、なくなってほしくないと願う、広尾の景色や味がある。

「あなたの広尾」はどんな景色だろうか。

 

れんジョー

            

 

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