広尾のお祭り

2017.9.18
9月10日の夕暮れ時、私は同郷の友人と一緒に渋谷駅から新橋方面に向かう都営バスに乗車する。
バスは明治通り沿いを「並木橋」「渋谷橋」と通過し、ようやく私たちの目的地である「広尾五丁目」に到着した。
あたりは18時過ぎにも関わらず、もう薄暗くなっている。
どこからか、「ヒューピロロ カンカン ドンドドン」という聞き慣れない音が聞こえ、私たちはすぐにそれがお囃子の音であることに気づいた。
そう、私たちが広尾を訪れたのは、紛れもなく氷川神社 広尾神社の例大祭を見るためである。
ちょうどバス停を降りた頃、向かいの車道をガシャンガシャンと金色に光る立派なお神輿が揺れるのが見えた。
「あっ!あれあれ!!!」
友人が指差した先には、お神輿の周りを取り囲む大勢の人。
当たり前だが、お神輿を担ぐ人の姿も。
躍動する本物のお神輿を拝むのが初めてだった私と友人は驚き、感動、終始口が開いたまま圧倒されていた。
 坂口 写真1
「そーれっ!そーれっ!そーれっ!」
近くで見学するため車道を渡ると、多くの半纏を着た幼い子供たちから大人たちまでが、声を揃えてその場は大いに盛り上がっていた。
以前、この例大祭をよく知る方から広尾の大神輿はすごく重たくて大変だと聞いたことがある。
けれど、神輿を担ぐ皆さんはその重さに額に汗をかき、苦しそうにしつつも、その表情はとても晴れやかで活き活きとしていた。
神輿の行列から少し離れ、前方へと進むと、そこにはトラックの荷台で子供たちがお囃子を奏でている。
坂口 写真2
奏者は皆、小中学生と思しき6〜7人ほどの子供たちで、和太鼓、鉦鼓(しょうこ)、縦笛で構成されていたが、その音色と言ったらもう大人顔負け。
奏者たちを見なければ、子供たちが演奏しているなんて全く分からない程だ。
お囃子の音色が賑やかな街の雰囲気と見事に合わさり、参加者の血を騒がせ、心を踊らせ、一層祭りの雰囲気を盛り上げていた。
坂口 写真3
坂口 写真4
坂口 写真5
普段通っている広尾の雰囲気とはまた違ったパワフルでエネルギッシュな街の空気や人々に驚きつつも、もしかすると、この一面の方が真の広尾の姿なのかもしれない、とふと思う。
広尾は「ハイソ」で「おしゃれ」な街。
そんなイメージが広尾を覆っているが、実は昔から変わらずに受け継がれてきた広尾という街の本質は、このお祭りにギュッと凝縮されている気がする。
そう考えに至った私は以前にも増して広尾の街を愛していることに気がついた。

by JD(女子大生)のむーちょ

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