広尾のなかの ”下町”
2017.3.5
実は、11年前に私どもが、ここに初めての美容室を出すまで、
広尾を訪れたのは、人生で1度きり。
それまでは『北千住』に事務所があり、バリバリの下町生活から、
縁あって広尾に来たわけです(そのいきさつは長くなるので、またの機会に)。
当初は「広尾」の響きだけで圧倒されましたが、実際に生活してみると、
銭湯あり、お神輿あり、路地あり、ネコありの ”下町要素” も満載なのです。
オープン間もない頃、いきなり看板の電球が切れてしまい、
どこで買えるのか?
焦ったスタッフが、切れた電球を持って商店街を右往左往していると
「オレ、電気屋だよ」
と、声をかえてくださった、きっぷのいいおじい様が。
電気屋さんといっても小売りをしているわけではなく、
ご親切から仕事の材料の一部を譲ってくださったのでした。
「あんた、パーマ屋か?」
・・・う~ん・・・美容室・・・ヘアーサロン?
以来、おしゃれなショップが並ぶ商店街の一角で
「よう、パーマ屋」
と、声をかけていただく。
「この辺は、昔っからパーマ屋と喫茶店が多いんだょ」
初めて聞く話に、ここに美容室があっていいと言われているようで、
勝手に嬉しくなりました。
同じビルにあるクリニックに通われているとのことで、
うちの店にも寄ってくださいとお誘いすれば
「パーマ屋なんか行かねぇよ」
美味しいコーヒー淹れますから、コーヒーだけ飲んで行ってください。
「ありがとよ」
やっぱりパーマにします?
「しない」
結局、一度もご来店いただけないままですが、
「よぉ、パーマ屋」は、
今も私にとって広尾の魅力のひとつです。
人懐っこさと照れくさそうな笑顔が行き交う日常。
新参者の私たちも、すんなりと受け入れてくれる懐の広さ。
人々のなかに”下町要素”を見つけては、今日もにんまりしております。
(美容室のaizawa)