広尾の1pic(ワンピク)広尾散歩通りをご紹介

2023.8.16

広尾のお魚

今年は5月21日(日)に「大鮪まつり」が開かれた。

4年ぶりの開催だ。

鮮魚福田屋の店頭に設えたテントを囲むように集まった多くのお客さんが見守る中、鮪のプロによって豪快に捌かれたのは、宮城県塩釜にあがった121kgの生の本鮪。

福田屋内ですぐに柵どりされ、刺身柵とまぐろ丼として販売された。

この大鮪まつりは昭和54年に開かれた「まぐろ市」から始まったと聞いているので、長い歴史をもつ。

今では多くの出店ブースが並び、子供たちに大人気のミニSLも走る広尾商店街の大イベントとなった。

ご存じの方も多いと思うが、目黒では毎年秋に「目黒のさんま祭」が開催される。

宮城県気仙沼市から届く大量のサンマを塩焼きにして振舞う。

"いかん、サンマは目黒に限る"という殿様のお言葉でお馴染みの古典落語「目黒のさんま」を思い浮かべるので、目黒とサンマのご関係は"ですよね"となる。

では、なぜ広尾は「まぐろ」なのか?

広尾散歩通りの中程に山門を構える祥雲寺は筑前松平黒田家の菩提寺であり、歴代徳川将軍に単独謁見できる格式があったお寺。

鷹狩の休養の際にも将軍が訪れたと聞いている。

が、残念ながら” まぐろは広尾に限る "と言ったとは聞いていない。

実は、広尾のまぐろはお殿様のお言葉ではなく、当時の商店街理事長のご意向とか。

「広尾は他の街にはないイベントを開こう!」ということになり、皆の賛同を得て、まぐろ市が始まったというのがシンプルな真相のようだ。

 

広尾散歩通りにはもう「ひとつ」お魚がいる。

それが写真のお魚。

タイのような典型的なお魚の形。

祥雲寺山門前の角にある船橋屋こよみ広尾本店前の歩道に随分と前からいる。

どうしてここに生まれたのかは不明だ。

 

船橋屋こよみ広尾本店インスタグラム

2023.8

 


切り火で見送る

『味福あさの』は古民家を改装した風情豊かな佇まいの和食屋。

一流処で修業をしてきた主人が作る料理は何を食べても旨い。

特にじゃこ佃煮は、広尾のお土産としても人気だ。

試作を繰り返して作り上げた昼のラーメンも和食屋らしい繊細な味で、あっという間に看板商品のひとつとなった。

赤ちょうちんに火が灯る夜の営業時間には名物がもうひとつある。

旨い料理と酒を堪能し店前に出ると、無事の帰宅を願い、長年使い込んだ火打石と火打金をカチカチと打ち合わして女将が切り火を切ってくれる。

時代劇では、出かける主人の背中に向かって切り火を切る場面をたまに見るが、実際にやってもらうと、なんだか大切にされているようで嬉しく、自然と笑みがこぼれる。

味福あさのホームページ

味福あさのインスタグラム

2023.3

 


有栖川宮記念公園の池に潜む

広尾散歩通りからも至近にある有栖川宮記念公園。現在、12年ぶりに池底に溜まった泥の浚渫(しゅんせつ)作業が行われている。

水を抜く作業の過程で、池に住む生き物達をしばらくの間他の場所に移すことになる。また、引き取り手を探さなくてはならない生き物もいるようだ。

捕獲作業の際に、1.2mもある大ナマズが見つかったというニュースはメディアでも報道された。

後の調査で「ヨーロッパオオナマズ」であることがわかった。

今はほとんどの水が抜かれ、いたるところで池底が見える。

写真では後方に小さく写っているだけだが、普段は水に隠れて見えない池の周囲の縁は、池底に向かって規則正しく打ち込まれた丸太のような杭で縁取りされていることがわかる。

この杭と杭のスキマが生き物にとって絶好の隠れ場になっているはずだ。

作業員の方に伺ったところ、浚渫の作業中には足元に魚が触る"ぬるっ"とした感触が度々あるそうだ。

この調査では、ウナギも1匹網に入ったと聞く。

年月をかけて池底に溜まった多量の泥土。深いところではなんと1・5m程も積もっているという。はまってしまったら大人でも抜けられない深さだ。

今回の浚渫ではすべての泥を取り除くわけではないらしい。

工事が終わると、渓流から注ぎ込む水で再び池が満たされる。

残された泥の中で息をひそめていた生き物達が「待ってました!」とばかりに池に泳ぎだし、時間をかけて新たな生態系を作ることになる。

ウナギも1匹だけではないはずだ。

 

有栖川宮記念公園ホームページ

2023.2

 


〈鮮魚・魚料理〉福田屋

かつては生鮮三品(青果・精肉・鮮魚)のお店があってこそ"商店街"と言われた。

夕飯前の時間帯は、買い物かごを下げて生鮮品を買い求めるお客さんで街は活気に満ちていた。威勢の良い店員とお客さんとのやり取りも、今となっては楽しい思い出だ。

現在、広尾散歩通りには専門店としての青果店と精肉店は一軒もない。家族で営む福田屋(1929年創業)が唯一の鮮魚店だ。

〈鮮魚・魚料理〉福田屋は店頭に並ぶ鮮魚とともに、昼の時間帯には店の奥でとびっきり美味しい魚定食が食べられる。

刺身はもちろん、煮魚も焼き魚も旨い。テイクアウトをするお客さんも多い。

本日のラインナップがインスタグラムで見られるのが今風だ。

福田屋インスタグラム

2023.1

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