広尾の1pic(ワンピク)広尾散歩通りをご紹介
かつて、生鮮三品(青果・精肉・鮮魚)のお店があってこその商店街だった。
夕飯前の時間帯は、買い物かごを下げて生鮮品を買い求めるお客さんで街は活気に満ちていた。威勢の良い店員とお客さんとのやり取りも、今となっては楽しい思い出だ。
現在、広尾散歩通りには専門店としての青果店と精肉店は一軒もない。家族で営む福田屋(1929年創業)が唯一の鮮魚店だ。
〈鮮魚・魚料理〉福田屋は店頭に並ぶ鮮魚とともに、昼の時間帯には店の奥でとびっきり美味しい魚定食が食べられる。
刺身はもちろん、煮魚も焼き魚も旨い。テイクアウトをするお客さんも多い。
本日のラインナップがインスタグラムで見られるのが今風だ。
2023.1
広尾散歩通りからも至近にある有栖川宮記念公園。現在、12年ぶりに池底に溜まった泥の浚渫(しゅんせつ)作業が行われている。
水を抜く作業の過程で、池に住む生き物達をしばらくの間他の場所に移すことになる。また、引き取り手を探さなくてはならない生き物もいるようだ。
捕獲作業の際に、1.2mもある大ナマズが見つかったというニュースはメディアでも報道された。後の調査で「ヨーロッパオオナマズ」であることがわかった。
今はほとんどの水が抜かれ、いたるところで池底が見える。
写真では後方に小さく写っているだけだが、普段は水に隠れて見えない池の周囲の縁は、池底に向かって規則正しく打ち込まれた丸太のような杭で縁取りされていることがわかる。
この杭と杭のスキマが生き物にとって絶好の隠れ場になっているようだ。今回の調査では、ウナギも1匹網に入ったと聞く。
年月をかけて池底に溜まった多量の泥土。深いところではなんと1・5m程も積もっているという。はまってしまったら大人でも抜けられない深さだ。
作業員の方に伺ったところ、今回の浚渫ではすべての泥を取り除くわけではないらしい。
工事が終わると、渓流から注ぎ込む水で再び池が満たされる。
残された泥の中で息をひそめていた生き物達が「待ってました!」とばかりに池に泳ぎだし、時間をかけて新たな生態系を作ることになる。
ウナギも1匹だけではないはずだ。
2023.2
『味福あさの』は古民家を改装した風情豊かな佇まいの和食屋。
一流処で修業をしてきた主人が作る料理は何を食べても旨い。
特にじゃこ佃煮は、広尾のお土産としても人気だ。
試作を繰り返して作り上げた昼のラーメンも和食屋らしい繊細な味で、あっという間に看板商品のひとつとなった。
赤ちょうちんに火が灯る夜の営業時間には名物がもうひとつ。
旨い料理と酒を堪能し店前に出ると、無事の帰宅を願い、長年使い込んだ火打石と火打金をカチカチと打ち合わして女将が切り火を切ってくれる。
時代劇では、出かける主人の背中に向かって切り火を切る場面をたまに見るが、実際にやってもらうと、とても大切にされているようで嬉しく、自然と笑みがこぼれる。
2023.3